前回、梨状筋症候群の発生機序、症状、治療などについてお話ししましたが、今回はさらに解剖学もご理解いただき参考にしてください。
これは、被写体を右横から見た解剖図です。ご覧のように梨状筋は仙骨前面から大腿骨に付いており、骨盤の孔(大坐骨孔という)に梨状筋上孔と梨状筋下孔を形成します。この梨状筋上孔と下孔にそれぞれ重要な神経や血管が通るため、ランニングなどの疲労により上孔、下孔の通り道が狭くなり圧迫することで、さまざまな障害を起こします
以下に上孔、下孔を通る神経、血管を書き出してみました。
<上孔を通る>
- 上殿神経
- 上殿動・静脈
<下孔を通る>
- 坐骨神経
- 下殿神経、下殿動・静脈
- 陰部神経、内陰部動・静脈
- 上殿神経が働く筋肉(中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋)
- 坐骨神経が働く筋肉(ハムストリング・下腿の筋肉ほぼすべて)
- 下殿神経が働く筋肉(大殿筋)
※陰部神経については省略します
ランニング障害のほとんどは、下孔を通る坐骨神経障害で、殿部痛・大腿後面痛(ハムストリング)・下腿痛などの症状が現れます。