骨盤周囲の痛みについては、複雑多岐にわたるため、ここではランナーに多くみられる「付着部炎」について説明します。
まず、「付着部炎」が起きる原因ですが、運動により、筋肉が骨に付く弱い部分に繰り返しのストレスがかかるためです。主に、運動強度と運動量が多いことが関係しています。
<主な障害>
- 縫工筋付着部炎
縫工筋が付いている上前腸骨棘の炎症です。縫工筋は、股関節を持ち上げ、膝を曲げる作用があります。 - 大腿直筋付着部炎
大腿直筋が付いている下前腸骨棘の炎症です。大腿直筋は、股関節を持ち上げ、膝を伸ばす作用があります。 - ハムストリングス付着部炎
ハムストリングが付いている坐骨結節部の炎症です。ハムストリングスは、股関節を伸ばし(後ろに引く)、膝を曲げる作用があります。(大内転筋も坐骨結節に付く) - 内転筋付着部炎
内転筋群*が付いている恥骨(恥骨体、下肢など)の炎症です。内転筋群は、股関節を持ち上げ、太ももを内側に引く作用があります。(一部の筋肉は別作用あり)
*内転筋群・・・恥骨筋、長・短内転筋、大内転筋、薄筋、外閉鎖筋
細かい運動については省いていますが、主になる運動に、別方向の運動が加わることにより、障害が起きやすくなります。
悪化させると、付着部炎にととまらず「剥離骨折」する場合もあります。
<予防と治療>
日頃から、疲労回復のためのストレッチをしっかりやること。アイシングも効果的です。
万一、痛みが出た時に自分でできることは、ストレッチと患部のアイシング。それでも、痛みがひかない場合は、マッサージや鍼がよく効きます。