運動生理学

高地トレーニングの理論と効果

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夏のこの時期、エリートマラソンランナーの多くが1500m~2200mくらいの涼しい高地で合宿したり、時期に関係なく、大会を逆算して最大パフォーマンスを引き出すために高地トレーニングを実施したりしていますが、このトレーニングの理論と効果について解説します。

平地では、大気中に約21%の酸素があり、酸素分圧は約160mmHg。
これが、標高2000mになると、気圧が約0.8気圧に、酸素分圧も平地の約8割の約130mmHgになります。ちなみに、酸素分圧が上がれば酸素と結合するヘモグロビンの量は増加し、下がれば酸素と結合するヘモグロビンの量は減少します。

高所到着直後、順応するまでの間、動脈血の酸素分圧低下により、呼吸が促進し息切れを感じやすくなったり、最大酸素摂取量の低下が起き、長時間のランニングはきつくなります。この最大酸素摂取量の低下を回復しようとする身体の反応が高地トレーニングの効果です。

<具体的効果>

  1. 血液の酸素運搬能力の向上(赤血球数・ヘモグロビン濃度の増加など)
  2. 心臓の1回排出量の増加
  3. 筋グリコーゲン利用の効率化
  4. 筋肉内の毛細血管やミトコンドリアの増加
  5. 乳酸の再利用促進

これらの効果が期待でき、マラソン選手には効果覿面です。
ただし、やり方を間違えると体調を崩したり、逆効果になったりするので、以下の注意が必要です。

<注意点>

  1. トレーニング期間は3~6週間
  2. 高所に順応する4~5日は、有酸素的トレーニングで軽めに
  3. 徐々にならし、後半により実践的な無酸素的トレーニングを取り入れる
  4. 下山後、1~2週間の間の大会参加が望ましい

*個人差あり

しかし、我々市民ランナーには仕事もあるので、理想の高地トレーニングは難しいというのが現実です。夏場、2~3日くらい「涼しいところで練習できる」というだけでも良いのではないかと思います。

 

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