日本実業団連合は、日本陸上競技連盟と協力の元、東京オリンピックマラソンメダリストの輩出を目的に、平成15年7月から平成30年3月末までの間、決められた大会において、一定の基準をクリアーすると報奨金(日本記録は、個人1億円、チーム5000万円、男子の記録2時間6分59秒以内は、1,000万円など)を拠出する制度をスタートさせました。
しかし、設楽選手の2018東京マラソン日本記録更新(1億円)を皮切りに、大迫選手の2018シカゴマラソン日本記録更新(1億円)と続き、今年の2020東京マラソンでは、再び大迫選手が日本記録更新(1億円)、その他の選手も6分台、7分台が続出し、かなりの報奨金が拠出されることになりました。
そのため、日本実業団連合の報奨金原資の残が800万円となり、名古屋ウィメンズマラソンで20分台で優勝した一山選手、22分台の安藤選手、監督ならびにチームに「規定通りの金額が支払われない可能性がある」という報道がされたのが、つい最近です。
基準をクリアした選手や監督は「寝耳に水」な話で、大変不満を募らせているようです。
この話の問題点は、そもそも日本実業団連合が
「そんなにクリアする選手がいないだろう」と構えていたことです。
理由は、男子は高岡選手「2時間06分16秒(2002年10月)」、女子は野口選手「2時間19分12秒(2005年9月)」の日本記録が、何十年も破られていない現実があったからでしょう。
しかし、2018年の東京マラソンで好記録が続出(日本記録1人、6分台2人、8分台4人)。その要因は、明らかに高速コースと厚底シューズ(ヴェイパーフライ)にあるにもかかわらず、基準の見直しを行わなかったため、2020年の東京マラソンでは、再び好記録が続出(日本記録1人、6分台2人、7分台7人、8分台5人)、今回の事態になったという訳です。(2019年東京マラソンは、気象条件が悪く記録は低調でした。)
もう一つの問題点は、最初から財政が破綻するような制度だったことです。男女別に報奨金の枠を決めてしまえば、そんなことは起きようがありません。
これから、スポンサー企業にお願いに回るという事ですが、今は国自体がピンチ、はたしてどうなることやら。