昨日行われた、東京マラソン2020。
東京オリンピックマラソン代表の一枠がかかる大会とあって、空前の盛り上がりを見せました。
結果は、ご存知のとおり大迫選手が2時間05分29秒の日本新記録で日本人一位となり、代表枠のひとりに大手をかけました。
レースを振り返ってみると、3強と言われる井上選手が、スタートから2分55秒/kmのトップ集団に、大迫選手はトップ集団の後方、設楽選手は2分58秒/kmの日本記録を狙う第二集団に位置しました。
トップ集団は20K手前くらいから設定ペースよりも2~3秒速くなり、トップ集団から3人が抜け出し、井上選手はトップより少し遅れた集団で粘ります。22K地点、ついに大迫選手が遅れ始めます。
しかし、井上選手の集団がペースダウンすると、32K地点で自分のペースを維持した大迫選手が集団に追いつきます。
同時に、井上選手の顔色を伺いながら、先頭に出てペースアップ。井上選手はここで遅れ始め、最後までペースを戻すことはできませんでした。
逆に大迫選手は、元気を取り戻し、最後まで大きなペースダウンもなくゴール。
日本人一位、総合四位、日本新記録誕生です。
設楽選手は、一度も二人に並ぶこともなく、2時間07分45秒でフィニッシュ。今回は、見せ場がありませんでした。
30Kの3選手の通過タイムを比較すると、
井上選手 1時間28分28秒
大迫選手 1時間28分40秒
設楽選手 1時間29分05秒
30K通過ではほとんど差がなく、後半12Kで勝負がついた、という事です。
3選手のそれぞれのおかれた立場を考えると、レースの思惑が読めます。
井上選手・・日本人一位で2時間5分49秒以内で、東京オリンピック当確
大迫選手・・とにかく日本人一位になれば、ほぼ当確。(びわ湖マラソンの結果待ち)
設楽選手・・日本人一位で2時間5分49秒以内で、東京オリンピック当確
井上選手は、調子が良かったんでしょう。つけるところまでついていくという覚悟で、レースに臨んでいます。
大迫選手は、井上選手がトップ集団にいたから、速いと思いつつもトップ集団後方についた。井上選手が、そのまま逃げていくのを警戒したということ。
井上選手が第二集団にいたら、おそらく大迫選手も第二集団にいたと思います。
それでも、22K地点では、このままのハイペースでは自分が崩れてしまうと思い、意識的にペースを落としています。レース後、この時は「今日はダメかもしれないと思った」と大迫選手が話していますが、その真意は、「このまま井上選手が逃げてしまうのではないか」という事でしょう。
設楽選手は、調子があまりよくなかったようで、第二集団後方から、前の二人を眺めながら、出方を探る作戦でしたが、本人が残り12Kで余裕がなくなっているので、完敗です。
解説では、途中、井上選手がこのままゴールするかのような事を言っていましたが、どちらが勝つかは別にして、私は、「えっ、それは難しいでしょ」と思っていました。そもそも、日本人が誰も走ったことのない3分台のペースです。25キロ過ぎたあたりの顔色だけで判断するのは、早すぎます。せめて、35キロ過ぎの顔色、動きの判断要素が必要です。
<大迫選手の勝因>
もちろん総合的な力ですが、冷静な判断、42Kを通して自分の力の配分を考え出し切れる能力。マラソンを走れる身体。
*今回は、どんな展開でも大迫選手が勝っていたと思うくらい、圧勝でした。
<好記録続出の理由>
一挙に、国内マラソン10傑に4人入り、5分台1人、6分台2人、7分台7人、8分台5人がマークした理由とは?
1 ヴェイパーフライ(ナイキ)の効果
何と言っても、ヴェイパーフライ(ナイキ)の効果は大です。今回は1位~17位が全員、ヴェイパーフライ(ナイキ)。
32K地点で、上位100人中93人がヴェイパーフライ(ナイキ)とのことでした。
ちなみに、当クラブの早坂君は、初めてのヴェイパーフライ(ナイキ)でしたが、感想を聞くと「効果は絶大」とのことでした。
その他の理由としては、
2 気象条件が良かった
3 コースは前半下りの高速コースであった
4 ボーナス(賞金)がある
5 東京オリンピックを控え意識が変わった
これらの事が、あげられます。
ただし、私は喜んでばかりいられないと思っています。
なぜなら、以前ブログにも書きましたが、記録を出した選手が「信じられない」と言うランナーが多いという事。それは何を意味するのか?
ヴェイパーフライ(ナイキ)の恩恵が大きいという事です。
今では、ケニヤ、エチオピアの一流ランナーが、2時間1分台~3分台と言われており、決して世界との差は縮まってはいないと思います。
それらを踏まえ、設楽選手の「4分台で走らないと」の発言は、的を得ています。