先日、オーストリア(ウィーン)で開催された、マラソン2時間切り特設レースで、キプチョゲ選手(ケニア)が1時間59分40秒(非公認)を達成。その翌日、シカゴマラソン(女子)にて、コスゲイ選手(ケニア)が2時間14分04秒の脅威的な世界新記録で優勝しました。
この2人の履いていたシューズが、同じナイキ社の、ズームXヴェイパーフライネクスト%の後継モデルで未発売品とのこと。
また、世界の男子マラソントップ5つのうち、4つがナイキ社のカーボン入りシューズのようです。
さらに、MGCマラソンの男子30人中16人、上位10人中8人がナイキ社の主にヴェイパーフライネクスト%を履いていたとのことで、今は、世界のマラソンランナーの主力がナイキ社のカーボン入りシューズを履いている現実です。
ここまで記録が出ると、カーボンが入ったことで、記録が短縮されたのはまぎれもない事実です。
国際陸連では、シューズの規定を「使用される靴は不公平な補助、アドバンテージをもたらすものであってはならず、誰にでも比較的入手可能なものでなければならない」と定めており、この規定を見る限り、それほど逸脱するものとは考えられませんが、シューズのハイテク化論争に火がついているようです。
私の考えは、シューズの開発が進んで記録が出ることは素晴らしいことであると思うことを前提に、“誰にでも比較的入手可能なもの”という点を重要視して欲しいと思います。
記録を出したいのは、実業団選手に限らず、一般市民ランナーも同じです。マラソン界全体の条件を統一するとことで、マラソン界の発展と記録更新が期待できます。
また、前女子マラソン世界記録保持者、ラドクリフさんは「スポーツ界では特に、できるだけフェアな条件にするためのルールが必要だと思う」と述べています。これに関しては、
世界記録を、カーボン入りシューズと、そうでないシューズの2段階にすればいいと思います。
カーボンの効果は明確なわけなので、条件が違うものを、ひとつにするという事に矛盾があります。難しいとは思いますが、ひとつの提案です。
せめて、ラドクリフさんの記録は、カーボンが入っていないシューズで出した世界記録として認定される方向で動いて欲しい。
加えて、今後は、増々ハイテク化が進むと予想されます。
例えば、一部ではすでに取り上げられているようですが、個人の動作分析から、ソールの厚さや、角度を調節した特注シューズの作成。さらに、筋力を補助するタイツは、さらに進化するでしょう。体温を上げないウェアも開発されてもおかしくありません。
ハイテク化がランナーの差別にならないよう、マラソン界の発展につながる方に進んで欲しいと願うばかりです。