大船戸高校のエース 佐々木投手が県予選決勝で投げなかったことで、高校野球の投球数制限について話題となっていますが、私の考えを述べます。
問題となるのは、指針を作成しても、指導者がつい投げすぎさせてしまい、ケガをする。そして最悪の場合、その後の野球人生に支障をきたしてしまうということです。投げさせすぎる理由は複雑多岐にわたるため、「良いとか、悪いとか」それについてのコメントは控えさせていただきます。
そこで、一治療家として、骨がまだ完全にできていない若者が、肩や肘を酷使するとどうなるかを考えると、離断性骨軟骨炎(骨が剥がれて関節の中を浮遊する)、内側側副靭帯の機能障害(緩む)、肘部管障害(神経麻痺で指がしびれる)、骨端線離開(成長が阻害される)などが起きる可能性があり、当然、早目の投球制限が大事なのがよくわかります。
これらの障害は、個人差があり、成長の早い子はある程度投球数が多くても問題ないのですが、成長の遅い子は特に気をつけなければなりません。このことも、問題を複雑にしています。
私がもし、野球の監督なら、勝負はもちろん追求しますが、その上にくるのは、その子の将来です。ケガをよく知ると、迷いなく、使い過ぎは良くないことが解ります。
したがって、指針はもちろん大事ですが、指導者にケガについて理解してもらう機会を増やしていくことが、使い過ぎによるケガの抑制になるのではないかと考えます。
マラソン選手でも、小学~高校にかけて走りすぎたランナーは、膝の半月板、股関節などの骨(軟骨)障害をかかえることが多々あり、最悪の場合は、野球と同じです。
指導者を対象とした、成長期のスポーツ障害について、勉強の必要性を感じます。