ランニング理論

マラソンの正しい給水について

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私が現役の頃の給水は、「あまり水を飲むな」と言われ、今は「喉が渇かないうちから積極的に水分をとりなさい」に変わってきました。今回は、「マラソンにおける給水はどうすればよいのか」について、経験を踏まえてお話ししたいと思います。

そもそもマラソン中、水分が不足しすぎると体にはどのような変化が起きるのでしょうか。まずは、脱水症状が起き体温調節ができなくなるため、体温が上がってしまいます。また、血液の粘性が高まり、酸素や栄養素を体のすみずみまで運ぶことができなくなります。これを聞いただけでも、とても走れる状態ではありませんよね?

それでは、どんなタイミングでどれだけ水分を摂ればよいのか。よくマラン教本には、レースの1時間くらい前に300~500ml飲み、レース中も喉が渇かないうちに100mlくらいをこまめに摂りなさいと書いてあります。しかし、私がこれを実践すれば、恐らくお腹の中がチャポチャポして、きっとパーフォーマンスの低下を招くことでしょう。つまり、汗をかきやすい人、暑さに弱い人など、個人によっても大きな差があり、一概にどれくらいが適量とは言えないということです。

ただ、はっきりと言えることは、「飲みすぎも、飲みなさすぎもダメ」ということです。よく、給水で立ち止まって紙コップ2杯くらいをグイグイと飲む人を見かけますが、明らかに飲みすぎですね。水分の吸収は胃ではなく腸で行われるため、しばらく胃に溜まってしまうのです。

また、レース中は失われた塩分とエネルギー補給のため、真水でなく塩分と糖分が含まれたスポーツドリンクがベストですが、糖分が高すぎると吸収が悪くなるため、スポーツドリンクは少し水で薄めて、糖分を3~5%くらいにすることをお勧めします。

さらに、水分の温度は低い方が吸収はよいのですが、腸が敏感な人はお腹がゆるくなるため注意が必要です。

私のレース当日の給水は、まずウオーミングアップの前後で、喉が渇きそうだと感じたら、せいぜいペットボトルのスポーツドリンクを1~3口くらい、控え気味に飲んでいます。レース中も、喉が渇きそうだと感じたら、紙コップのスポーツドリンクを、こぼしながら1~2口飲みます。
私は暑さに強いためか、これくらいの給水でちょうどよいのです。先ほどお話ししたように、個人差が大きいため、教本に書いてある通りに水分を摂る必要はまったくありません。自分にあった給水の仕方をマスターしてください。

さらに付け加えると「脱水を防ぐための給水と、パフォーマンスの低下をきたさないための給水」は分けて考えるべきではないかと思っています。

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