アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎は、ランニングをしている人であれば、一度は経験しているか、周りでアキレス腱が痛いというランナーを一度は見たことがあるというほど、発生頻度の高い障害です。アキレス腱は、ふくらはぎと踵の骨の間をつなぐ人体で最も太い腱で、ランニングやジャンプの動作で、大きな力が加わります。
アキレス腱そのものの炎症をアキレス腱炎、アキレス腱を覆う腱膜(パラテノン)の炎症をアキレス腱周囲炎と区別されていますが、実際は区別が難しく、炎症が広範囲にわたるものをアキレス腱周囲炎と呼んでいるケースもみられます。
原因は、オーバーユース(使い過ぎ症候群)、ふくらはぎの柔軟性低下、アキレス腱自体の硬化、下肢のアライメント異常(回内足・回外足など)などにより起きます。軽傷の場合、ウォーミングアップで温めると痛みがとれますが、無理をすると悪化させます。また、急性期の場合、ギシギシと音がする場合があります。慢性化させると、アキレス腱自体が肥厚や瘢痕化(こぶ)したり、腱膜の癒着が起き、手術の適応となることがあるため、この障害は初期の段階で無理せず、慢性化させないことが重要になります。
練習は、アキレス腱を押して痛い間はほどほどにして回復を待ち、同時にふくらはぎのストレッチと練習後のアイシングをお勧めします。
治療はマッサージ+電気、または踵にヒールパットを入れるか、アライメント異常の場合インソールの処方になりますが、鍼治療もよく効きますので、なかなか治らないとお困りの方は、ぜひ一度ご来院いただければと思います。